福島おうえん勉強会

チェルノブイリ被災地訪問報告
−ベラルーシ・ノルウェーで見た「放射線と向き合う暮らし」−

第2部 「ベラルーシで見たこと、聞いたこと、会った人」

6.情報とデータがつなぐ人と人

文字スライド 「概要説明」(Eが赤くなっている)
文字スライド 「E:情報とデータがつなぐ人と人」

最後に、私がベラルーシに行って見てきた中で感じたことというのをまとめで。  情報とデータがつなぐ人と人。これがベラルーシで私がいろんな人と会って話したときに思ったことなんです。

文字スライド 「人がつなげる情報とデータ(1)」

今、日本で放射能に関することは、まだ大きな問題になっているわけですけれども、1つに、放射能について、分断、人間関係に対する分断が起きていることが非常に大きな問題になっていると思うんですけれども、その原因としては、放射能というのが目に見えない、五感で感知できない、だからそれぞれの頭の中で理解するしかない。自分のそれぞれの頭の中で理解するということは、共有することが非常に難しい。これはなんでもそうだと思うんですね。目に見えたり、耳に聞こえたり、そういう感知できるものに対しては、ものを指し示して共有することが感覚的に可能。でも放射能は感知ができない。感覚そのものを共有しようというのは非常に難しいことだと思います。更にもう1つ大きな特徴を挙げると、それが生活の細部にまで入り込んできているわけですね。職場に行ったときだけに問題になるというのではない。あらゆるところで問題になってくる。

文字スライド 「人がつなげる情報とデータ(2)」

先ほどのベラルーシの対策で、情報データ、マップが非常に重要だと話が出たんですけれども、情報データというのは、そういう感知できない放射能を、可視化したものだと思うんですね。目に見えないし、耳にも聞こえないし、においでも共有できない、それを共有しようと思うと、人間の手によって可視化しなくちゃいけないと思うんです。可視化された情報データ、そのためにマップ。まず、共有化しないと、一緒に考えて対策を考えるということがなかなか難しいんじゃないかなと思うんです。まず、感覚化できるようにしよう。見えるようにしよう。マップにしよう。

この時に重要なのは、「情報を伝えるのは人だ」ということです。情報は単独そのものであるのではなくて、人を介して伝わっていくわけです。ベラルーシでもそうですし、ノルウェーでも—ノルウェーも私一緒に行ったので、思ったんですけども—地域の人が非常に大きな役割を果たしているんです。それは多分、情報そのものをポンと与えられたのでは駄目だったんだと思うんです。ノルウェーだったら、アンヌマリーさんという方が大きな役割を果たしましたけれども、あの方が情報を伝えたから、地域の人は信用した。ベラルーシではアナスタシアさんであり、タチアナさんですね。ああした人が伝える情報だから価値があった、周りの人は信用できるようになっていったんじゃないかなと思っています。  

文字スライド 「人がつなげる情報とデータ(3)」

もうひとつ、放射能に関して思うのは—生活の細部に入り込むとさっき言いましたけれども—生活の細部に入り込むということは、全ての領野に関わる問題だ、と言えるんですね。「ここだけの問題」と限定することができない。いろんなところで放射能のことが出てくる。ところが、いろんなところに関わるということは、逆に言えば、これを媒介としていろんなジャンルの人が放射能でつながることができると思うんですね。

これは実際に現地で—現地というのは福島ですけれども—福島で何かしている人たちと話をしていると、そういう話題が出るんです。「この事故が起きるまではこういう関係になるって無かったよね。それぞれ全く関係無かったもん」と。それは私がいわきでローカルでしている活動の中の住民の方も言われてて、「ご近所さんと今までそんなに話しなかったんだけども、この放射能で、私たちがしている活動を一緒にするようになってから、ご近所付き合いが結構できるようになったよ」と、そういう話をされていて。

放射能の問題というのは良いことではないんですけども、その中に何か良いことが見つけられるとすると、こういう新しい人間関係ですね、人と人がつながる媒介になるんじゃないか。それは、ノルウェー、ベラルーシを見て、日本での自分の経験を考えても、可能性として思っています。

そのためには、情報の蓄積ですね、さっき言ったように。放射能は目に見えない。感覚で感知できないから共有できないんだから、まず共有できるようにすること。そのためには、情報を蓄積しなければならないし、わかりやすい形で公開する。これ、前提だと思っています。あともう一つは、それを元に「話す」ことですね。感覚で感知できないんだから、話すしかない。だから、対話するというのは、非常に大切だと思います。  

文字スライド 「放射能が分断する社会から、放射能がつなぐ社会へ」

こ「放射能が分断する社会から放射能がつなぐ社会へ」とちょっと言ってみましたけれども、私はこれは現実に向き合ってなんとか対処しようと思っている人たちが集まれば、本当にできると思っています。だからそのために、皆さんと話をしてですね、やっていきたいと思っております。

全体の話はこれでおしまいです。

スライド 写真:壁の黄色いかわいい家

最後に、これ、ブラギンの建物の写真です。ブラギン地区ってこんな感じで、本当にね、お花みんな好きで、いっぱい植えてあって。農村部なんで、裕福ではない。放射能が無くてもそんなに元々裕福ではなかったかもしれないのですけれども、でも、こうやって建物をきれいにペイントしていたりして、とても可愛い町です。

これで終わりです。

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